個人的な話だけど、この史上最強と言われた70年代のシンシナティー・レッズの大ファンだった。僕が初めて夢中になったMLBだった。十年間で地区優勝6回、リーグ優勝4回、そしてワールドチャンピオン2回。とにかく凄いメンバーが揃っていた。いつしか人々はこのチームを The BIG RED MACHINE と呼ぶようになったのである。
このメンバーの凄さはただ打つだけではなく、機動力、そして守備も一流だった事にある。特にコンセプシオンを中心に内野の守備は鉄壁だった。
1976年当時のシンシナティレッズ。このラインアップによるビッグレッドマシーンはまさに脅威であった。
最前列
ジョニー・ベンチ
中列左から
ピート・ローズ
デイヴ・
コンセプシオン
ジョー・モーガン
トニー・ペレス
後列左から
ジョージ・
フォスター
シーザー・
ジェロニモ
ケン・グリフィー
タイ・カッブの通算安打記録を塗り替えたピート・ローズ(その数4256本、首位打者3回、MVP1回)を筆頭にジョニー・ベンチ(ホームラン王2回、MVP2回)、ジョージ・フォスター(ホームラン王2回、MVP1回)、ジョー・モーガン(MVP2回)と十年間のうち、6年ものMVPを産んだチームだった。さらにはケン・グリフィー(ご存知ジュニアの父)、デイヴ・コンセプシオン(ヴェネズエラ出身の名ショート)、シーザー・ジェロニモらがいたのだ。特に猛威を振るった連続世界一の75〜76年のラインアップを紹介する(成績はいずれも76年のもの、打順はもちろん多少の入れ替えはあった)。
1 サード ピート・ローズ .323 215本のリーグ最多安打
2 ライト ケン・グリフィー .336
3 セカンド ジョー・モ−ガン .320 27ホームラン この年2年連続MVP
4 レフト ジョージ・フォスター .306 121打点で打点王
5 ファースト トニー・ペレス 91打点 19ホームラン
6 キャッチャー ジョニー・ベンチ この年は不調で16ホームラン
7 センター シーザー・ジェロニモ .307
8 ショート デイヴ・コンセプシオン .281
20世紀最大のスーパースター。1963年、スプリング・トレーニングでファアボールを選んだ後、一塁に全力疾走するピートを見ていたヤンキースのミッキー・マントルがチャーリー・ハッスルというニックネームをつけた。そしてすぐにそのニックネームはアメリカ中で知られるようになる。彼のヘッドスライディングはまさに宙を駆けるスーパーマンのようであり、彼のトレードマークだった。1985年9月11日、タイ・カッブの記録を抜く通算4192本目のヒットを打つ。3割以上を打つこと14回、積み上げたヒットの数は金字塔となる4256本。
こんな比較をするのはなんだけど、もしこれが日本だったら名球会の条件である2000本を2回満たしているわけだ。足も速く守備も万能で内外野どこでもこなす、まさにオールラウンドプレーヤーだった。
そして人気絶頂のうちに引退し、レッズの監督に就任したのだがとんでもない落とし穴にはまってしまうのだ。彼はギャンブル狂だった。野球賭博の疑いをかけられ、MLBを永久追放処分になってしまう。ポイントは自分が指揮をしていたレッズの試合にも賭けていたか否かだったのだが有罪の判決が下り、野球界から姿を消す事になってしまったのだ。
今もローズの復権を願うファンの声は多い。ネット上で署名を集めているホームページもあるので協力しよう。
http://www.peterose.com/(ローズの公式サイト)
ジョニー・ベンチ
今日、マイク・ピアザが史上最強の打撃を誇るキャッチャーと言われているが、それでもキャッチャーとしてはこのベンチの足元に及ばない。1968年にレッズに入団、いきなり154試合に出場し、新人王を獲得。その2年後には45ホーマー、148打点でMVPを獲得。72年にも40ホーマー、125打点で2度目のMVP。さらに1968から1977年まで10年連続ゴールド・グラヴ賞を受賞している。1983年に引退するまで通算ホームランは327本。ビッグレッドマシーンの中核として歴史に残る選手だ。
ローズとベンチの最近撮られた2ショット
ジョー・モーガン
今も解説者としてよく顔を出しているが、身長168センチしかなく、見たところ普通の人に見えるの だが現役時代はタダモノではなかった。レッズが連続ワールド・チャンピオンになった1975〜6、いずれの年もMVPとゴールド・グラヴ賞を獲得。特に76年は.326を打ち、67の盗塁に成功した。この選手もどの分野においても才能にあふれた選手だった。通算ホームラン268本で盗塁は689。そしてセカンドとして91試合連続無失策というMLB記録を持っている。
ドジャースとレッズは1970年代後半、ナショナル・リーグの東西の勇としてしのぎを削った。写真は右側にピート・ローズ、真中で滑り込んでいるのがドジャースのスティーヴ・ガーヴィー。そしてその左にカヴァーに入っているのがジョニー・ベンチ。